「つぶれたら大変でしょう」
あとに続けて、優らしい毒のある言葉も聞こえたけど。
「なっ!つぶれないわよ、それくらいじゃっ」
さらに続けて、怒る妃芽ちゃん。
頬を膨らませて、優を睨みつける。
「あぁ、そうか。つぶれるだけの身長もないしな」
「んな!?煩いッ」
二人の光景なんて、俺らから見ればじゃれてるようにしか見えない。
妃芽ちゃんはなんだかんだ言って優のことを心から嫌ってるようには見えないし。
優は5年に一度見ることができるかできないかの優しい瞳。
「早くくっつけばいいのに」
「ホントよねぇ」
そう、そんな感じ。
我が王様は最低最悪の二重人格。
俺達従者を振り回す。
だけどその王様を振り回す、小さな女の子は
もしかしたら最強なのかもしれない。


