でもまあ、ずっと怒ってられても困る。

怒ってる理由も、なんとなくわかる。


「妃芽ちゃん、ね…」

俺がぽつりと呟くと、皆もため息を零しながら大きくうなずいた。

……銀河以外の皆が。


「ホントよね。妃芽のやつ…、教室でもしゃべらないんですよ」

「役員が来ないだけであれだけ不機嫌になるなんて…やっぱり、あれよねぇ」

「あれですねぇ」

しみじみとうなずく三人に加え、俺も深くうなずく。

あれだね。

「アレってなんだよ!」

一人、鈍感な(というかもうすでにバカな)銀河だけが、わけがわからなそうに周りを見回していた。

「まぁ、可愛いしね妃芽ちゃん」

「ホントだわ!あの小動物系…。隣に並ぶなら会長しか許さないって決めてたもの〜!」

「ありがちだけど、ハマり役ですよね」

優は、妃芽ちゃんが来なくなった2週間ほど前から、異常に不機嫌になった。