「いーい!ウチのクラスの優勝がかかってんのっ。たとえ一年生でも!」

そういいながら委員長はズイズイと、伊吹の前まで歩いてくる。

「この幕末喫茶と、あんたがあれば勝てるっ!」

ものすごい気迫で迫り来る委員長に、大分伊吹が引いてるのがわかった。


にしても、委員長──沙羅ちゃんは人生のすべてを懸けてるって感じ。

めっちゃくちゃ楽しそうだけど。


「皆、よーく聞いて。幕末ってのは歴女の最大ワードなの!今じゃ坂本龍馬ブームだし、それにね…新撰組っていう最強集団がいるのよっ!!」

そういえば玲羅がそんなこと言ってた気がする。

今の時代、それで語れなきゃ損だ!とか言われた覚えがある。


「それで、伊吹くん!あなたのイメージは沖田総司!新撰組一番隊組長及び剣術師範、孤独で儚げな天才美少年剣士よ!!」

長っ!

思わず突っ込みを入れたくなった。
“孤独で儚げな天才美少年剣士”だけでいいじゃんって思う!


だけどそんな心の声をものともせず、沙羅ちゃんは言い続ける。


「生徒会の仕事もあるでしょうから、午前だけモト取るからねーっ!」

ほーっほっほ、と笑いながら細かいところを決めていった。