文化祭の企画が始まり出した。

「んでっ!我がクラスは、幕末喫茶だからっ!」

「「「意義なし〜っ」」」

たった今、委員長の大きな声と共に。
ウチのクラスの出し物は決定したわけだけど。


「幕末かよ…」

小さな声で不平を言った、隣の席男子。

自分をダシにするのは目に見えてる、とでもいうように、にっこり笑顔で舌打ちをした。

どす黒いオーラを放っていることに気付いているのは、きっとあたしだけだろう。


「なに、あんた嫌いなわけ?」

「別に?僕は大好きだよ」

パッと笑顔の周りに花をまき散らす、伊吹は言った。

最初の名簿順の席以降、悪魔のくじを引いたあたしは、伊吹の隣の席になってしまったわけだ。
しかも真ん中の列のど真ん中。

教卓に近いわけじゃないけれど、
地獄耳の委員長には声が当たり前のように届いていて。

「伊吹くん!君のその一言が聞けて嬉しいわっ」

目を輝かせて不敵に笑う。