「伊吹!」

第一声はそれこそ大きすぎる声。

うっせーよ、と俺が顔をしかめるのもおかまいなく、この猫娘は眉間に皺を寄せて睨みつけてきた。

「文化祭実行委員て、どういうことよ!!」

どういうことも何も、生徒会役員は自動的に実行委員になるっつったはず。


「また聞いてなかったのか?」

「そうじゃない!なんで生徒会役員が実行委員になるわけっ!?」

耳元で叫ばなくても聞こえるっていうことが分からないあたり、猫だ。

「じゃあ役員がならなければ、誰がなる。それこそ有象無象しかいないだろ」

「有象無象って…!」

「あぁ、別にお前に脳があるといってるわけじゃねえから。どっちかといえばお前も有象無象だ」

「はっぁ!?なんで有象無象にされなきゃいけないのよっ」

このチビ──蒼井は、顔を真っ赤にさせて怒った。

まだ誰も来ていない生徒会室に珍しく一番に来たかと思えば、文句を言いにきたらしい。

「あーもう、だからそうじゃなくって!実行委員なんてなったら、部活の出展できないじゃない!」

そう叫んだ蒼井に、やっと納得した。

そういえばコイツは、美術部だ。