「梨宮。その4つの部の、現在の支援費はいくらだ」
「んー、ちょっと待ってね」
大きな目をした可愛い子が、手に持っていた分厚いファイルをめくり出す。
「はい。柔道部、空手部が月20万、コンピューター部は14万5千、サッカー部は22万です」
にっこりと知的な笑顔を浮かべた。
普通にしていると可愛い感じなのに、笑うと聡明さが伺える。
あの子こそ、普通かも!
そう目を輝かせてるあたしに気付いたのか、玲羅がまた耳打ちした。
「梨宮楓くん。実はSっ気の強い男の子だからね」
Sっ気の強い男の子かぁ……って、え?
梨宮楓、くん?
「男!?」
小さな声で玲羅に叫ぶ。
すると玲羅はにっこりと笑ってうなずいた。
「ありえない…」
この位置からでも、長い睫毛が影を落としているのが見えるのに。
指なんて細くて綺麗で。
どこからどうみても女にしかみえないのに。
神様は不公平だ。
「十分だな。あんなカスみたいな部じゃ、20万も惜しいだろ」
冷たい目で伊吹が言う。


