なんでそこに家が建ったのさ!
反対方向に建てろよ!
思いっきり顔に不機嫌さを出していると、頭上から溜息が聞こえた。
「別に一緒に帰らねえし。お前、襲われる心配もねーからな」
「悪かったわね色気なくて!」
ついつい言い返すけれど、一緒に帰らないんならまあ……いいのか?
うん、隣で歩くともなったら、どこで大魔王教の信者達が見てるかわかんないから嫌だけど。
家が同じ方向でも、あくまで別々に帰るわけだし。
いいか。
「ほら、さっさと帰れば?」
「おうよ。帰るわ」
「…」
一気に機嫌のよくなったあたしは、下駄箱から外にでる。
真っ暗なグランドは不気味で静か。
暗闇に目が慣れていないから、周りもよく見えない。
だから、気付かなかったわけだ。
後ろでにやりと笑う、この性悪男に。


