「馬鹿馬鹿しい」
 とりあえずもう一度呟いてみた。


 携帯の着信音に体を揺らす。
思わず"誰か"に知られたのかと思った。
そんなこと、有り得ないのに。
「!…はい、もしもし?」


【あんた何処にいんの!】

 思わず携帯から耳を離す。
母親だった、耳を離してても分かる声。


[嗚呼・・煩い]
心で呟く裏の自分、これは私ではないとそう言い訳して。

【ちょっと、聞いてるの!?】


「へーへー、今から行くって。
んなキィキィ言わんといて、煩い。」

 一方的に電話を切って立ち上がる。


「ん~ッ」
 ぐっと背伸びして、私は笑ってみた。
他人から見れば変かも知れない、..変か。

 でも今日くらいは良いでしょう?
一年はもう、この景色を見れないのだから。


 貴方と、もう話すことはないから。