「こちらの主戦力はワオンの鳴流神のみ。
あちらさんにはそれ以上の戦力が集結しつつある……
いずれ反乱側が一斉に攻撃に転じる、ということか。
向こうの戦力が整わない内に、反乱軍の中枢へワオンの鳴流神で強襲を仕掛けるというのはどうだ?」


ウズメの話から状況を読み、作戦を提案するバード。
ワオンはそれを聞き、呆れたように首を振った。

「いかにも貴様が考えそうな、稚拙で単純な作戦だな。
しかし無理だ。
反乱軍の陣地には近付けない」


「敵陣に居る鳴流神の仕業か?
お前ほどの剣士を退けるとは、よほどの豪傑なんだろうな」

バードの褒め言葉とも皮肉とも受け取ることができる発言に、ワオンは動じず冷静に答えた。


「貴様の言う通り、敵の鳴流神さえ片付けられれば………
奴はジョウルリの者では無い。
傭兵だそうだ。
名はファーゴ。
そして鳴流神は『弾(だん)』の称号を持つ、管楽弾ブラスオ。
長距離戦、狙撃戦を得意とする鳴流神だ」

「長距離戦用の鳴流神か……
ワオンの鳴流神は白兵戦用。
最悪の相性だな。
近付く者は狙撃される訳だ」


「だが、近付かなければ攻撃できない。
奴の懐に飛び込めば………」