「フン、貴様がどんな……」

「辛い思いをした奴ってのは、自分が一番辛かったと思い込むものだ。
人様の過去を、自分の物差しで計るものじゃない」

口惜しさを残すワオンが、スネアに向けて捨て台詞を吐くのを見越したように、バードはワオンの言葉を遮って話を無理矢理終わらせた。


「ウズメ、待たせて悪かった。
紹介しよう。
荒の称号を持つ鳴流神、打楽荒パーカストの奏者スネア。
そして奏者では無いが、ケットシー族の巫女ソナだ」

「まあ、ケットシー族の?
では、貴女が導きの託宣を示して下さったのですね?」

「ふにゅ〜?
ソナは巫女の力を使ってる時のこと、よく覚えて無いのニャ」


「それで良いのですよ、ソナさん」

ウズメはニコリと微笑んだ。
ソナはウズメの言葉の意味が分からない様子だったが、恐らく奏者の使命を無関係な人間に背負わせたくないという思いがあったのだろう。


ウズメは次にバードとスネアの方を向き、深刻な眼差しで話し始める。

「この国のおおよその内情については、既に知っていますね?
残念ながら我が臣下による反乱により、国は分断されています。
現在は膠着していますが、いずれ………」