(こんな所で鳴流神同士が戦い続ければ、街の被害が拡大してしまう)

戦闘の衝撃は、就寝していた街の住民の多くを叩き起こしていた。
慌てて避難する人々の姿も少なくない。


『ワオン!
鳴流神を帰還させろ!
このままでは無関係な人達を巻き込んでしまうぞ!』

『今更言うか!
貴様が私に斬られれば、そこで戦闘は終了する。
貴様こそ観念したらどうだ?』

対峙する二体の鳴流神は一歩も退かず、街の壊滅は時間の問題かと思われた。


『双方、剣を収めなさい。
そなたらの勝負……
このウズメが預かります』

突然、天からの声。
それは清らかで可憐で、それでいて凛とした強さを感じる声だった。


互いに構えを解く、ストレグンとデヴァーシャ。

『フン……
主の命とあらば仕方が無い。
命拾いしたな、バード』

デヴァーシャは双剣を分割して篳篥に戻し、再び腰に戻した。

『さあな。
命拾いしたのはワオン、お前の方かも知れないぜ?
ウズメに感謝するんだな』

轟震弦を収納しつつも、憎まれ口を叩くストレグン。
デヴァーシャが激昂する。

『何だと!?
貴様、それが先に剣を収めた相手に対する態度か!?』