「耳か。
それは困るな」

「だろ?
あ、そのボロボロのギターは残してやるぜ。
そんな汚いギター、持っていても何の役にも立ちそうも無いからな」

「フッ……
所詮ゴロツキのお前達には、このギターの価値が分からんか。
いいだろう。
身ぐるみ剥いでみな。
できるものなら……な!」

言うが早いかバードはギターのネックを掴み、弦を鞭のようにしならせて盗賊達に打ち付ける!


ヒュワシィッ!!


弦はバードを取り囲む全ての盗賊達の、武器を持っている手首に巻き付いた!


「痛ぇっ!
何だ、この弦は!?
手首に食い込んでやがる!」

「下手に動かないことだ。
そいつは特別製の弦でな、皮膚を裂いて肉を断ち、骨を砕く。
……さあ、このまま尻尾を巻いて退散するか、手首とサヨナラしてでも俺に襲い掛かるか、好きな方を選びな」

弦をしっかりと右手に束ねながら、今度はバードが盗賊達を牽制する。
キリキリと弦の締め上げが強くなり、何人かの盗賊はその痛みに泣き始めていた。


「これだけ痛めつければ十分反省しただろ?
楽器を演奏できるだけの力は残しておいてやるから、これからは改心して真面目に働くんだな」