バードが異変に気付く。
ソナの様子が何かおかしい。
座り込んだままの姿勢で小刻みに肩を震わせている。


「体調が悪いのか?」

スネアの問い掛けに振り向いたソナを見て、二人は思わず戦慄した。
目は釣り上がり、口元は薄気味悪い笑みを浮かべているソナ………

「お、おいバード……
あれが精霊の憑依ってやつなのか?」

「いや………
あんなドス黒いオーラを纏うソナは初めて見た。
ソナの意思とは無関係に、何か邪悪なものが憑いてしまったのか………?」


二人が見守る中、ソナが静かに口を開く。

『フ……フフフ………
フハハハハハハ!
奏者達よ、あの山火事がシジマの仕業だと見抜くとはな!
少しだけ褒めてやる。
だがな、俺の次の手は防げるかな?
例えば………
この娘に今ここで自殺してもらう……なんてのはどうだ?』

ソナは憑依されているのでは無く何者か……いや、奏者の敵『シジマ』の術によって操られていたのだ!
両手を首に当て、自分の首を絞めようとするソナ。


「シジマだと!?
バード!
このままじゃソナが殺されてしまう!
何とかならないのか?」

焦るスネアを制するバード。

「いや………
俺達が迂闊に動けば、奴は即座に首を絞めるだろう。
俺達が動かなくても、ソナは奴に殺される。
だがな、スネア。
こっちには切り札がある」