「!?
何故、俺の旅の目的が分かる?
…………そうか。
ソナ、君は巫女(シャーマン)なんだな?」

「はいニャ♪」

ニッコリと、無邪気な満面の笑みをバードに見せるソナ。


ケットシー族の、特に女性は霊感に長けており、精霊との交信をすることができる。
より高位の霊と交信して託宣を受けたり、人の心にアクセスして導きを示したりする程の霊感を持つ者は『巫女』と呼ばれて敬われる。
巫女に選ばれるのは若い娘であるが、巫女となった瞬間から社に幽閉され、死ぬまで託宣を受ける役割を担わされるという。


(家出というのは、社から抜け出して来たという意味か。
世間知らずの娘が街に出れば、さっきのようなゴロツキどもの慰み物にされるのが関の山だな)

バードはソナが故郷を出た理由を察した。
同時に、このまま置いて行くのも危険と判断する。


「……仕方ない。
安全な街に着くまでは面倒を見てやろう」

「わーいニャ!
今日はバードと同じベッドで一緒に寝るのニャ!」

「バ、バカ!
何を言ってる!?
別々の部屋で寝るに決まってるだろ!」

「でも二人で一緒に寝れば……あっ・た・か・い・のニャ♪」

「引っ付くな、欝陶しい!
腕に胸を擦り付けるな!
耳に息を吹き掛けるな!」