…意識不明、か……。



風が耳を掠める。


「そこのバイク、
止まりなさい!
学校はどうした!」



…またかよ……。



パトカーから降りた警官は、
俺を見ると溜め息をついた。


「またお前か…」

「こっちのセリフだよ」

「…で、学校は」

「……」

「退学になるぞ」

「だったらどーしたよ」

「ほんとに、お前は…」


警官が頭を抱える。


「一昨日の事故のせいで、
学校を休んで
お見舞いに行く学生が多くて困る」


…また、あいつの話か。
ああ、めんどくせぇ。


「…俺もそれだよ」

「ん?」

「幼なじみでさぁ」

「…本当だな?」


警官は怪訝そうな顔をしていたが、
他の見舞いの奴を見逃してる手前、
俺だけ特別扱いはできないんだろう。
掴んでいた腕を離した。



「…これはマジで。」


嘘はついてない。
あいつと俺は、
本当に幼なじみだった。



「…道路交通法違反……」

「今日はまだ違反してねぇ」


悔しそうな警官を残し、
俺は再びバイクを鳴らした。