「おい、麗
俺達も帰るぞ」
「うん」
嫌ぁー
何、この空気!
だめ、だめ。
顔が見れないよ…。
「あ、そういえば
黒田から聞いたんだけど、麗
ピアノ弾けるんだってな」
「まぁ…
今は、弾いてないけど…
ピアノを弾くとね…
自分がわからなくなるし、親と思い出が浮かんでくるから
弾かないことにした…」
あたしは、もう弾かないんだ…。
ピアノは、お母さんに教えてもらった大切な思い出。
だから、余計にあたしの手が震えて弾けないんだ…。
簡単に弾けたら苦労は、しなくて済むのに…
「ふーん
何か、勿体無い気がするけどな」
「まぁね…」
「そうか…
麗!
俺ん家に来い!」
へっ!?
何で、奏の家?
意味わかんないよ!
何でよ!

