「ケータイ貸せ!」
「えっ!?
ちょっと!
取らないでよ!」
奏があたしの鞄を取って
ケータイを取り出して
次々、電話を掛けてくる。
電話掛けてる所って…
全部、あたしのバイト先だよね?
「奏!
何、電話してるの!?
電話してるのってバイト先?」
「当たり前
ほかに、どこに掛けるんだよ?」
それは、そうだけど!!
何でよ!
あたしのことでしょ!
奏に関係ないじゃん!
「何で、掛けるの?
奏に関係ないことじゃん!」
「関係ないわけないだろ?
黒田や一樹や知美さんや俺だって…
心配なんだよ!
知美さんは、本音を言わないかも知れないけどな
みんな、お前のことを心配してるんだよ…」
そんなこと…
今まで…
考えてなかった…。
いつも、いつも…
知美さんのため、知美さんのためにやってきたことが…
逆にみんなに心配かけてたんだ…。
あたしは、知美さんのために生きてた…。
あたしは、誰かのためにしかできないのかも知れない…。
「そんなこと…
考えてなかった…。」
「麗!!」
「わぁっ!?」
いきなり未来が抱きついてきた。
それは、温かく力強く。
未来…。
ありがとう…。

