新宿にある久米クリニックという精神科のデイケアに意を決して通うことにした。なにかの広告で見た。たしかタウンページにこれでもかというような色づかいの、大きいの広告がでていた。
 精神科デイケアでは…元ホストのアル中患者、糸井や髪の毛が七色の普通以上に元気にはしゃぎまわる堺やピアスが十ヵ所には確実に空いてる戸田、女にキレてコップを床に叩きつけて割る油谷などのジャンキーが必要以上にはしゃぎ回りデイケアという居場所を半ば支配的に使用していた。辟易した。またデイケアのスタッフ(看護婦や精神保健福祉師(PSW))が対人恐怖症やうつ病、統合失調症、ひきこもりの患者よりジャンキー達を優遇していた。
 久米クリニックの精神科デイケアには心の病の患者もアディクションというアルコール依存症患者や違法・合法薬物依存症患者(ジャンキーたち)もごったでプログラムを行ったりレクレイションをしたりしていた。要するに精神科のデイケアという一つの社会訓練を兼ねた居場所に、依存症患者も精神障害患者、精神疾患患者もいれられていた。ほんとは分けるべきだがなにゆえ新宿という土地柄からかジャンキーの数は多いし、東京のど真ん中のクリニックなので居場所の面積が狭い・・。僕は中井に住んでいて新宿には西武新宿線一本でいけるからどうしてもその利便性故、久米クリニックを選んでしまった・・。仕方ないね。
 話がちょっと飛んでデイケアでの男女関係であるが、いわゆるボーダーの美しい女の人は高嶺の花であり僕は相手にされなかった。
 中世の西欧貴族が巻くようなコルセット?のようなおしゃれアイテムをしてモデルの卵みたいにかわいいレイカは糸井の女だった。遅刻してよく同伴出勤みたいにデイケアに来ていた。糸井はデイケアのボスだった。やはりボスにはふさわしい女が寄ってくる・・。でもあくまでも新宿の精神科デイケアという非常に限られた空間でのボス。悪く言ってしまえばおやまの大将である。それでも20歳で童貞の僕には羨ましくて仕方なかった。
 孤独な僕は、昔の篠原トモエニに似た統合失調症の若い女性を口説こうとしたけれど勇気がなかったし、その女性もデイケアでは何気に競争率が高かった…。僕は自分は一生童貞なんではないかと絶望した…。