「いや、ここは『ああ、茜のおかげで迷いが晴れたわ! ありがとう! お礼に今日の払いは私が持つわ!』とか言う場面じゃない?」

「勿論感謝してるよ。奢らないけど」

呆れているのか驚いているのか、はたまた冗談を言っているのか。

私では心情を推し量りかねる叫びだ。

だから、誠実に茜に答える。

私の感謝の気持ちが、愛すべき二人に正しく伝わるように。

「迷いを捨てることはできない。だってそれが、私の気持ちのスタートだから」

黙って耳を傾ける茜と詠美。

私は静かに言葉を繋げる。

「でも、きっと……、この迷いが晴れるときが、私の気持ちに答えが出るとき」
今解ることは……。

「だから、この迷いに決着をつけるために、頑張りたいの」

私の胸に何かがある。

まだ答えにならない種。
だけどその先に、きっと正解があるから。

「やれやれ……それ結局現状維持じゃない」

「良いじゃない。梨花さんらしくて私は好きだけど」

ため息をつきながらも、茜は私に笑いかけてくれた。

微妙に誉めているのか解らないことを言いながらも、詠美も同様に微笑む。

この時、私は3人の心が1つになったのを確かに感じたのだった。

そう……。

こんな中途半端な私を2人は応援してくれる。

「よ〜し! そうと決まれば梨花の幸せを願って乾杯よ! 詠美、ジュース追加!」

「オッケイ!」

明るい2人の声がとても頼もしかった。