どういう意味だろうか。

私は自分の発言を思い返すが、いったいどこでヒントがあった?


詠美は、まるで周知の事実のように話始めた。

「梨花さん、さっきから初対面とか、会ったばかりという台詞が目立つんです」

「つまり、梨花はその辺りを問題にしていると?」

茜の問いかけに詠美は大きく頷く。

「無意識的にだけどね。自覚がないからパニックになってるんじゃないかな?」

そう言われると、そんな気もしてきた。

私が面識がないから恋に発展するわけがないと思っているのかもしれない。

茜も同感なのか、力強く首を縦に振り、ひどく肯定的だ。

「確かに。梨花は結構乙女って言うか、見た目で好きになるなんて邪道、みたいなところあるから」

否定はしない。自分でもそう思う。

たが茜。あんたが言うな。

運命とか論じてた奴に、乙女とか。

鏡、見ろ。

まあ、そんな私は無視して、2人の会話はヒートアップしていく。

当事者おいてけぼりかい。

「だから、その自分の信条と実際の心情が食い違っているから、片方を認められないんだと思う」

「で、頑固者の梨花は、今の素直な気持ちを否定しようと必死なわけだ」

だから、茜、一言余計!

誰が頑固者だ!

それにしても、詠美の分析は的を射ている気がする。

確かにそれなら私のパニックは説明がつくのだ。

つまり……。

「わ、私が翔にひ、ひとっ――!」

ふわぁあああ!

いざ口にすると体が! 筋肉の硬直が!

「落ち着きなよ。良いじゃん。一目会ったその日から、恋の華が咲いたって」

冷静に言うな! 茜と違ってこちとら恋らしい恋は初めてなの!

もうこの段階まで誤魔化さない。否、誤魔化せない。

私は翔に恋をしているのだろう。