騙してみせて!

「あ、あた…ナツエ、先にお風呂入ってくるね」

思わず、「あたし」と言ってしまいそうになったのを寸前で堪えた。

ナツエが壊れそう。

ナツエがあたしになっちゃいそう。

ナツエはあたしが作りだした仮面なのに。


あたしが操作する側なのにナツエが操作しようとしてるんじゃないかと思う。

ダメ。

分かってるから。

分かってるから……


シャワーを止める。

静かなお風呂場。

バシャバシャと髪を掻きむしる。

こんなのあたしらしくない。

いや、ナツエらしくない。


でも、分かってるのに分からないんだ。

はい上がる方法を。