「そうなのか?」

ほっとしたような表情を見せた紺野くん。

あたしは心の中でにやっと笑った。


「うん……朝食食べてなくて」

あたかも恥ずかしいという素振りで喋る。


「そっか。じゃちょっと早いがお昼食べに行こう」

「ありがとう」

あたしはにんまりと笑う。
また、タダ食いができる。

今日は別れる予定だから最後にお金を削ぎ落としとかないとね。


「やっぱナツエは素直で可愛いよ」

フフッー…

あたしは全く素直じゃない。
腹黒で、騙す為に愛想振り撒いておまけにタダ食いしている最低な女。

可愛くもなんともない。

なのに。
みんなころっと騙されて。

ほんと笑っちゃうよ。