人間二重奏





階段を駆け上がって、ふぅっと息を吐く。


お別れなのに…
最後のあいさつなのに……
あんな言い方ってないよね…。


どうせ話すならちゃんと
伝えたかったな……。





「……ハァ。三条…!」

「え、たっけん……」


宮本が電車には乗らずに追いかけてきてくれたようだった。


「間に合わなくなっちゃうよ…」


「いや…部活、自主練だからいいんだ。つーか、まじで朝混んでんな〜!もぅ2、3本見送ろっかな」


「なんか……ごめん…」



「俺は大丈夫なの。そこは気にしなくていいから!で……さっきの話、ちゃんと聞かせてよ。市塚から通うってことは、引っ越したわけじゃないんでしょ」