冬の朝。 風が冷たい。お決まりのランニングコースには、見慣れた景色が並ぶ。 拓哉がいなくなって数週間、数ヶ月と日は過ぎていくものの最初から居ないかのような悲しさ儚さを一人感じていた。 僕の知らないところで世界が廻っている。 いつも想うこと。 同じ時を、共有していたとしても使い方は人それぞれで内容さえ違う。 僕が知らないことが、他人には重要で他人は不要なことが僕には必要だったりする。