気がつけば、人垣はあたしを中心に二分していて。
こんな大勢の中での失態に泣きそうになりながらも、上半身を起こして痛む右足に目を遣ると何だか不穏な膨らみが。
軽く触ってみる。
(ッた…!)
涙が反射で出てきそうだった。
こうなると動かすのも辛い。
(どうしよう…)
座り込んだまま軽くパニックに陥っていると、聞き覚えのある「どいて」と言う声がして、周りのギャラリーのざわめきが静かになった。
見ると、人垣が開けて久々に見る有栖川ルイがこっちに歩いて来ていた。
あたしの前まで来るとしゃがみ込んで、患部を見るなり「まずいな…」と呟いた。
あたしはというと、いきなり登場した目当ての人物に文句なんて言う事も忘れて、だんだんと増してく痛みにぐっと堪えていた。
すると、突如視界が変わる。
.
