「いや、そーいう意味ではないんだけどね」

突然割って入ってきた声に振り返ると環奈がいた。

どうやら採寸に呼ばれたらしい。


「むー。じゃあなんだってのよぉ。…って環奈。役者チームだったっけ?」

環奈が何やるか、知らない。

「…その反応、だいたい想像はついてたわ」

はぁ、とこれみよがしに溜め息をつかれてしまった。

やーん。
呆れられちった。


「環奈ちゃんは白雪姫の宿敵!『継母・魔女役』よ!しかも自ら志願してくれたの」

ほんとは白雪役を美羽ちゃんと人気を二分してたんですけれど、と何気に我がクラスの副HR委員長サマでもある前園ちゃんが教えてくれた。

「えっ!そうなの!?」

じゃー、この役あたしじゃなくても。

「ていうか…。なんであたしみたいなのが選ばれたんだろ…」

環奈が小さくため息をつきながら「…この鈍感娘が」ってつぶやいたけど、気が付かなかった。

あたし達二人を見た前園ちゃんが。

「心配しないで!このあたしが腕に頼をかけて、可憐で素敵な白雪と美しくて妖しい継母にしてあげるから!」

ド天然発言、炸裂。
でもキラキラと目を輝かせながら意気込む前園ちゃんはなんだか眩しい。

ありがと前園ちゃん、と二人で微笑んだ。


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