続いて呼ばれるのはヒロイン。


「票数が二分しましたが、一方の方がある配役を熱望していたので、プリンセスはこの方になりました」

HR委員長の前置きにみんながざわめき始める。


「見事、プリンセス役を射止めたのは―――笹原美羽さんです」


………。

「って!あたしッ!?」

思わずガッターン!と椅子も気にせず勢いよく立ち上がる。


当然静まる教室内。


はッ!
ま、まずい。
やら…かしたっぽい。


気づいた途端に赤く染まる頬。
俯いた顔のまま「し、失礼をば致しました…」って小さい声で謝りながら椅子を立てて席に着いた。

恥ずかしすぎてひたすら小さく縮こまる。


すると。
隣のあの人がクツクツと笑いだした。

…へ?


「…っ。お前って……」

えっ、な、なに?


声がしたほうを見ようと隣に振り返るよりも先に。


「わぁッ!」


あたしは強制的に下を向かされることになる。


有栖川ルイの手によって。


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