それを打ち破るように、フッと鼻で笑う藤代祥弥。

「それが君の答え?」

クスクスと笑う彼に、あたしはなんだかわからずもムカッときたが、有栖川ルイは冷静だった。

「そうだ」

わかったら、消えろ。

そう言い放った有栖川ルイの声に、見たこともない冷たい顔に、あたしは少しだけ震えた。

そんな表情を向けられても微動だにしない、藤代祥弥とは……何者だろうか。


「御祖父様からは逃れられない……」


(え…?)

彼が呟いた何かは私には届かなかった。


「美羽ちゃん、またね」

「へ、は、はい……」


(あ、れ?名前、教えたっけ……?)


さっきとは打って変わった薄い笑みでの言葉に呆けながらも返事をすると、またクスッと笑われた。


扉で有栖川ルイをもう一度見つめた彼は、そのまま何も言わず出て行った。



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