「みーつけた」

扉の向こうから突如現れた人物に目を見張る。

それは有栖川ルイも同じだったようで。


「随分探したんだよ」

ルイ。

乱入者―――藤代祥弥、その人がそう言った。


(な、なにが、どうなってるの……)

あたしは訳もわからないまま、視線だけが二人を交互に移していた。

藤代祥弥がチラリとこちらを一瞥した瞬間、ゾクリと背中が粟立った。

(な…、んなの……)

向けられた冷めた瞳にどうしようもない胸騒ぎを覚えた。


「何の用だ」

「何って、わかってるくせに」

全くしょうがないね、と短くため息をつく藤代祥弥。


(一体……、この二人は…?)

あたしが理解するより早く、会話は進んでいく。


「前も言ったはずだ。俺の答えは変わらない」


強い語気でそう何かを言い切る彼に、探るような目を返すもう一人の彼。


静かな室内に、どこからか遠くの教室の喧騒が不釣り合いに響いた。



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