普段は割とのほほーんとしたクラスなのに、今は副賞という『ご馳走』を狙う肉食動物的なクラスのギャップが可笑しく思えて、心の中で一人小さく笑みを浮かべていたら。

いきなりのデコピンをかまされた。


「ッた!?」

「…お前な……。人が話してる途中でトリップしてんじゃねぇよ」

しかもニヤニヤと気色悪い、となにやら失礼なことを言いなさる。

…なんか、あたしが知ってる素のこの人よりも口が3割増しぐらい悪くなってるんですけど!


「き…気色悪いってどーいう意味よ!」

「別に。そのままの意味」

意地悪く笑う悪魔にカチンときて、報復にデコピンでもしてやろうかと思ったけど、あたしの指は図体のでかいヤツのデコに到底届きそうもない。

手も足も出せないあたしはキィーッ!と地団駄を踏むしかなかった。


周りは周りで自分たちの作業を忘れるほど、あたしたちのやり取りに目を丸くしていた。
それくらい、周りの目からは異質に見えたらしい。

……有栖川ルイが。


あたしも正直驚いた。

(なんで、こんなにも突然……?)

謎は積もるばかり。


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