これから始まるであろう環奈の尋問に気を落としつつも、ふと、ある顔に視線が留まった。


忘れもしない、見事なまでのブロンドヘアー。
涼しげなブルーの瞳は、驚いたことに見開かれていた。


次の瞬間勢いよく立ち上がり、こちらにそのまま歩み寄る。

静まり返る教室。
咳一つさえ、するのを躊躇いそう。


無表情なんて、いつもは胡散臭い王子面してるヤツらしからぬ顔で、足取りは性急だ。


すれ違いざまにあたしを一瞥すると、すぐに行ってしまった。


あたしに残されたのは、何とも言えない虚無感だった。



…なんだってあたしがこんな気持ちになんなきゃいけないのよ。



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