魚住が私の人生にその姿を初めて現したのは、桜の花弁も散りかけた頃で、二十歳になったばかりの時だった。高校を卒業して、福井から上京して、十ヶ月足らずで専門学校を中退して、クラブで本格的に働き始めて一年と少し経った頃、五十過ぎのいつも作業着を着て来る、工務店の社長に連れられてやってきた。