「やだ、やめて、変態!ちかーん!」

あらん限りの声で叫んだつもりだったけど、本当に怖い時って声もでないらしく。ひきつった小声でイヤイヤをするようにうずくまってしまった。

「落ち着いてください!ちょっと聞きたいだけですから!」
「やーだー!どっか行ってくださあい!」

「今あなたが出てきた喫茶店、まだ他にお客さんいました?」

ぶんぶん、と首をふる。

「お願い、どこか行って!」

「いないんですね?」

「いない…いなかった!」

「ありがとうございました!おい、戻るぞ!」

ガサ。

どこからかもう一人出てきて、そして、消えた。