「お前が告白しようとしている男も。」



表情が固まった私に、コタローさんは続ける。


「プロポーズしようと決意するまでの楽しい交際、ふたりで一生を共にしようと誓った事、そのためのケジメとしての披露宴。ケンカもあったろうし、別れようと思い詰めた事もあったろう。それでも今日のような事を何回も繰り返して、ふたりだけの思い出を重ねて、結婚しようとしてるんだ。お前の入る隙、あるか?」



お待たせしました、そんな店員さんの声は遠くからしか聞こえない。



「万が一隙があったとして、他の女に揺れるような安い男が好きなのかよ?」


ズルイよ、このヒト。
正論ばっかで、反論できないじゃない。



とうとう零れた涙。みっともない。ミジメだ。







「泣くのなら。」


コタローさんが、私の対面から、私が座っているソファー席へとくる。



「1日だけだ。俺を丸ごと、貸してやるよ」