美人カフェ“BLUE BIRD”

「すばらしい芸術品だと思いません?」

「・・・眠い・・・。」

「ほら、この絵画の木の生命力が・・・。」

「・・・なんか食べたい・・・。」

まったくかみ合わない話を続けているのも当然で。

このヒトミって人は、5日前にアメリカに強引にアタシを拉致ったかと思うと、芸術鑑賞だとかなんとか言って、やれ美術館やらブロードウェイやら自由の女神やら、まるでフツーの旅。いや、家族旅行なんてほのぼのしたものしたことない私は、フツウの旅ってよくわからないけど。


確実に言えるのは、この人はめちゃめちゃ冷たいサディスティック。「あと5秒遅れたらよかったのに。」と笑顔で自分だけ帰国の用意万端でアタシを出迎える人。

確かに朝7時って約束したけど。

ホントーにそれがジャスト朝7時だなんて。一秒でも遅れたら即帰国、って恐怖と共に思い知った。いつのまにかパスポートと数日後の旅券がアタシの枕元にあったし。


ああ、こんなに昼間活動的になるなんて、アタシじゃないみたい・・・。


「さて、アメリカの旅も、残すところ後少しなんですが・・・。」

私のリクエストに答えて、日本じゃ考えられないでかさのハンバーガー。

でも、これとももうすぐオサラバよっ!遅刻以外、何にも悪いことしてないし。

・・・・言葉通じないから、悪いことしようもないんだけどさ・・・。

「那美さんの旅費が、尽きてしまいました」

ニッコリ。柔和な顔で、アタシに宣戦布告―・・・。