Don't leave

そして、約束の日。



私は、彼に抱かれた後に話そうと思った。




いつもみたいに、心を込めてお互い体を重ねて沢山キスして沢山触れて。


彼をこの体に刻みつけてから話をしよう。




最後くらい、ワガママ…いいよね、神様。





私の唇は震えてないだろうか。


つかささんの体に触れるこの指先が震えてはいないだろうか。


声は?

表情は?



どうか自分の全てがいつも通りであるようにと願わずにはいられない。




つかささんは普段から私を恐ろしく観察してるから、


些細な変化もすぐに分かってしまう。



様子がおかしいと思われちゃいけない。





彼に抱かれる間、


視界が霞みそうになるから、大変だった。


気を抜くと、涙が際限なく零れ落ちて来そうで。


もう少し。


もう少し堪えて。


自分で自分に言い聞かせた。




覚えておくの、


つかささんの全てを。



優しさと
鋭さと
温かさを含んだ瞳。


50年生きてきた証の皺がある…頬や目尻。


私を掻き乱す、この唇。


くせのある髪を撫でるのが好き。


この大きな手に、
深く手を絡ませるのが好き。


永遠に続きそうなキスの嵐。



あなたのくれるキスが大好き。





全部全部、


好きでたまらない。









本当は、




1秒でも離れてたくなんか、ないのに。






ねぇ。







こんな思いするなら、






出会わなきゃ良かったのかな?私達…







命の大切さを、


身を持って知ったくせに、




愚かな私は、




いっそここでこのまま死ねたら幸せなのに。




そう思っていた。