Don't leave

ああ、でも、夫婦仲が良くて、きちんと生活費を旦那さんから貰っている人ならば、こんな時間も少しは持てるに違いない。


私、だからダメだったんだ。



波の音が規則正しい。


このまま日常から離れたままどこかへ消えてしまえたらいいのに。


旦那との事も
生活苦の事も
嫌な事あれもこれも全てから解放されて


ここではない、どこかへ行けたらいいのに。



「結子?」



つかささんが首を傾げて私を見つめる。


「ううん、何でもないよ。」



ねぇつかささん。


こんなに居心地良くて、
いつもいつも癒されて、

いつもいつも優しさに包まれていたら…


私はつかささんに依存しちゃうよ。



どうしてそんなに優しいの?

どうしてつかささんと居るとこんなに心地良いの?



ーーどうして、そんな目で私を見つめて来るの……?




「お待たせ致しました。」



私の思考はそこでストップする。


ケーキを見た瞬間に表情が変わったのが自分でも分かる。


そんな私の表情を、この人はまた…微笑みながら見るんだろう。



「ん。おいひー!!」


足をジタバタしたいのをすんでのところで抑え、ニンマリして言うと、つかささんはさも楽しそうに笑った。



「本当に結子は美味しそうに食べる…」



目を細めて顔をくしゃくしゃにして笑う笑顔が、まるで太陽みたいだと思った。