Don't leave

今まで散々歩き回って悩み抜いたのは何だったのだ、と笑ってしまうくらいに、それからの私の決断は早かった。


「この、アルファベットのTのジッポーを。それからメッセージ入れをお願いしたいんです。…2行で。」


メッセージは、


I don't leave it
From y


これしかないと思った。


それを専用のオイル付きケースに入れてもらい、ラッピングをしてもらう。




ジッポー独特のカシャンという、あの心地良い音が耳の中で鳴る。

このライターを、あの音を立てながら、彼が使う。


考えただけで頬が緩んで、思わず自分の頬を叩く。


きっと、きっと喜んでくれるよね。


無くすから勿体なくて使えないと言われたら、


家で使いなさいと言えばいい。



ふふふ。


早く渡したいなぁ。





バレンタインの為のラッピング用品や、一目惚れした春物ジャケットとか、衝動買いしたペアの携帯ストラップとか、子供の文房具とか…


これでもかという程に私は袋を沢山抱えて、


財布の中は寂しくなったのに、


心は大大大満足で、帰途についた。