Don't leave

自分の中で散々悩んだ末に絞ったのが、


ボールペン。
カードケース。
キーホルダー。
ネックストラップ。
バッグ。
アクセサリー。
ライター。


小物系になった。


ここまで絞ってしまえば、後は見てるうちにピンと来るだろうと…余裕に構えていたのが大間違いだった。



品揃えが豊富でセンスの良い物ばかりを取り扱う雑貨店で、

何時間もぐるぐる回りながら悩む私の姿は怪しかったに違いない。



脳内に再生された彼を思い浮かべてはニヤニヤし、値段を見ては首を捻り、……とにかく、どれも良すぎてどうしていいか分からない。



足も痛くなってきた頃、

ライター売り場で私の目は吸い寄せられるように、ガラスケースの中のジッポーで止まる。


ジッポーはありきたり。

ありきたりだけど、私はジッポーが大好きで。


彼はジッポーをすぐ無くすから使わなくなったと言っていた。



…でも。


アルファベットが刻まれたシンプルなジッポーが、私の心をガッチリと掴んで離さない。



筆記体のTが刻み込まれたジッポー。


シンプルで、きっと彼に合う。



目の前には、

『メッセージ入れのサービス致します。1行は無料、2行目からは有料で承ります。』

とのプレート。



メッセージ。


裏にメッセージ入れれば、世界に1つのジッポーになる。



「すみません。このジッポーが欲しいんですが。」


気付いたら店員さんに声をかけていた。