Don't leave

それからも2人手を繋いで、私の見たいように歩き回り、ちゃんと色鉛筆も買い、

…いい加減疲れてきた頃。



ふと入ったお店で、トップスとかスカートとか眺めていたら、つかささんが私を呼んだ。


「結子。ちょっと来て。」



「なあに?」


彼のいる方へ振り向くと、彼はマネキンの前で、真剣な眼差しをしてマネキンの着ているダウンジャケットを見ていた。



や、やばいかも……



「結子。これどう思う?」

「え?いや可愛いと思うけど…」


マネキンの着ているダウンジャケットはパウダーピンクで、フード付きのロング丈、高めにウエストマーク出来るベルト付きのうえ…

裾デザインは一旦絞られた後にまた広がっている、凝った作りで、

これもまた安物ではない事が瞬時に分かるモノだった。




「結子はやっぱり黒だな。」


つかささんはそのデザインの黒を出してきて、私に差し出した。



「はい結子、着てみて。」


「えーっと…着るの?」

「うん。」



つかささんの笑顔を見てたら、着なきゃいけないような強迫観念に捕らわれて、私はそのダウンに袖を通してみた。



「あ。あったかーい…それに可愛い…」


「うん。やっぱり似合ってる。」



つかささんが満足そうに微笑んだので、すぐに脱ごうと思ったのだけど。
店員さんがやけにニコニコしながら話し掛けて来たので脱ぐに脱げなくなる。


またつかささんと店員さんで勝手に話してるし!

「じゃあこれ下さい。」


う。
嘘でしょぉっっ?




ムンクの叫びみたいな顔になりそうになる。