Don't leave

―――家の近くに車を止めて貰った時には、


よほど頑張らなきゃ笑顔なんて出せないってくらいに、


モチベーションは低下していた。


離れたくない、離れたくない。



「じゃあ…今日はありがとう…―」


なのに気持ちとは裏腹にスムーズに出て来る、バイバイの言葉。



「荷物重たいから気をつけてね。」


「ふふ。家はすぐそこなんだからこのくらい平気だよ。」


強気に笑ってみせ、荷物を持って車から降りる。


雪は止んでも尚まだ冷たい強風が、私の髪を巻き上げた。


つかささんと離れると思ったら、殊更寒く感じる。


すぐに低下する私の体温。


「…じゃあまたメールするね…」



手を降って、見慣れたメタリックパープルのボディ――つかささんの車――が発車してスルスルと走っていくのを横目で追った。



気をつけて帰宅してね……


言い忘れた言葉を、小さく小さく口の中で呟いて。



不意に膜を張った世界を、すぐに元に戻すべく……目をハンカチで拭うと、私は家に向かって歩き出した。



お風呂も年越しそばも紅白歌合戦も。



子供達が楽しみに待ってる。



ほら、いつもの私に戻って。