Don't leave

『自販機横のエスカレーターの所の椅子に座ってるから、買い物終わったらおいで。』



そんなメールが、レジに行く直前に来る。


もうつかささんは買い物終わったんだな。


大混雑のレジに並び、私も清算を済ませる。


思い袋をぶら下げてエスカレーター横に行くと、座ってるつかささんを見つけた。


「お待たせ…ごめんね。」


「そんな待ってないから大丈夫だよ。荷物貸して。」


つかささんは笑ってそう言うと、私から荷物を剥ぎ取る。

「重いよ、結構…」


「いいの。結子は持たなくていいの。」



世の中の男性の殆どが、きっと、恋人に重い荷物なんて持たせないと思う。

だから別に、つかささんが特別優しいとかじゃない事くらい分かってる。

でも顔はニヤニヤしてしまう。


私に向けられる、その優しさが嬉しくて。


なんか…

こうして買い物の袋ぶら下げて歩いてるなんて、夫婦みたい。


夫婦…


そんな言葉に自分でドキドキして、脈拍が早くなる。


バカ結子!

こんな場所でそんな事妄想しちゃダメなんだから。

ニヤニヤしてたら人に怪しまれてしまう。



だけど、妄想は止まらない。

ニヤニヤはかろうじて止められても、妄想スイッチが入るともう自分ではどうにもならない。


夫婦。

つかささんと夫婦だったらどんなに素敵だろう。

私の下手くそな料理も、つかささんは笑って全部食べてくれそうだ…


休みの日とか一緒に掃除してくれて。
洗濯物を干すのも畳むのもずっと一緒。


終始2人でニコニコしながら家事してそうだな…