Don't leave

「で、今日はどうする?」


「あーお腹すいた……」


「また少ししか食べてないの?」


「だって早く逢いたかったんだもん…」



そう。

早く逢いたくて、食べる時間が勿体無いから、彼と約束がある日のお昼は本当に軽くしか食べない。

それ故に、彼と逢う頃にはまたお腹すいているという始末。


またか、と困った表情で笑いながら、じゃあ何を食べたい?と聞かれて。

「分かんない。」


「出たよ…結子の分かんないが。」


「だって何でもいいんだもん。」


どこでもいいよ、と言おうとして気が付く。

世間は冬休みに入ったのだ。

どこで誰に見つかるか分かったものではない。


食べになんか行けない…


「ほら、着いたよ。お客さんに渡すんでしょ?商品…」


「うん。有難う。少し待っててね。」


とりあえず思考を一旦止めて、商品を持ってお客様の家へ向かう。

おつりを車の中に置きっぱなしにしてて、またおつりを取りに戻るという重ね重ねの抜けっぷりを発揮して、車に戻る。



私、もうボケてる?

本気で心配になる。


「さて…じゃあ行きますか。」



手を深く絡めて。


いつも通りに横顔を見つめる。


…好き。


ビジネスモードのスーツ、やっぱり似合ってて素敵。


下手すれば親子くらいの年齢差があるのに、彼とはそんなジェネレーションギャップを感じない。