綾は、私のそばにいるお兄さんに気付いたようで、ただでさえ寄ってる眉間の皺を、さらに深くした。





「なんでそいつがいるんだ」


『私に聞くな、っつか誰だコイツ。来たと思ったら、助けもせずに電話掛けやがった』


「へぇ・・・行くぞ、バカ」


『いだだだだだっ!!無理無理無理!!

そんなアクロバティックな体勢で引きずんなっ!!』


「ヨガだ、ヨガ」


『"無理せず毎日トレーニング"のキャッチコピー、丸潰れ!!』


「・・・・・・」






「僕に挨拶もなしで、どこに行くんだい?綾」






不機嫌な表情で歩く綾を呼びとめるお兄さん。

大股で歩いていた足をぴたっと止めるが振り向かない綾。





(うわ~、なんかめんどくさそう・・・


っていうか、綾と同じ顔で僕って言われるとウケる。)







「てめぇには関係ねぇだろ」


『いやぁぁっ、絡まないで!お兄さんの相手してる間、私の体はどんどんアクロバティックに・・・!!』


「運動不足解消にいいじゃない。ちょっと我慢しててよ」






あぁ・・・いい人っぽいけど、俺様が丁寧語使っただけじゃん。


綾が丁寧語でジャイアニズムしてるだけじゃん。