「拓馬!! いい加減にしなさいっ!!」 母親の聞き慣れた怒鳴り声。 机を強く叩く不快な音。 すでに慣れっこの状況に 怒鳴られた張本人の少年は怯みもせず ゆっくり立ち上がった。 「うっせぇんだよ!! あ――!!うぜぇっ」 ムシャクシャをぶつけるかのように椅子を蹴り そのまま玄関に向かうドアを乱暴に開けた。 「拓馬!!」 その声を払いのけるかのように 土砂降りの雨の中 傘も持たずに家を飛び出した。