リアルなアイドルでよかったはずのボクの中の彼女。



このままでボクはいいのかな?

運命って本当にあるのかな?



そんな疑問文だけを自転車に乗せてボクは家に帰った。

飯も食べずに、2階の自分の部屋にこもった、べッドに倒れこみ、いつものようにラジオのスイッチをつけ、答えなど書かれていない天井を凝視していた。

名前も知らないMCの
クダラナイ会話が右耳から左耳に通り過ぎる

そのうち、小田和正の『ラブストーリーは突然に』と言う懐かしい曲が何気無く流れてきた。


あの日、あの時、あの場所で、君に会えなかったら、僕らは、いつまでも、見知らぬ
ふたりのまま♪♪

中学生の時、テレビを独占できる座敷の部屋で、釘付けになって見ていたラブストーリーのドラマの主題歌。


その曲とボクの気持ちがシンクロしてゆく

いや、もしかしたら、シンクロさせたかったのかも知れない



ボクの中の彼女が、どんどん風船のように 大きくなっていったことは、ずいぶん前からわかっていた。




きっかけが必要だった。




時間は、すでに23時を過ぎている。



こんな時間にかけて、彼女の親が電話に出たら、どうしよう?



武器を持たない戦士ほど、無力な者はない。
運だけが頼り、やるなら、今しかない!と連呼する。

ボクの勇気の灯火が
消えないうちに
必死に電話をかけた。




コール・・


コール・・


コール・・


コール・・


ガチャ!!