部活のない日にスーパーのレジ店員のアルバイトを学校には内緒で隠れて働いていた。

ボクのレジ番号は、その日、6番だった。

ベルトコンベアーに流れてくる部品のようにカゴを持ったオバサン達が無機質に流れてくる。

ボクはバーコードを通し、商品の代金を頂き、笑顔で
「ありがとうございました」
と言う役をこなし、お小遣いを稼いでいた。
たしか、日曜日の夕方の混雑した時間帯である。

休憩に裏の茂みで
ラッキーストライクを一本吸い終えて、6番レジをいつものように開け
「次のお客様どうぞ」
と誘導した瞬間

ベルトコンベアーの流れは停止し、同時にボクの中の時も停止した感覚に襲われた。


目の前にセーラー服姿ではない、あの彼女が私服でカゴを持って立っている。

長袖の縞模様のラフな上着とジーンズ姿。

信じられない。

ドキドキしていた。
顔など、恥ずかしくてみれん。

商品を間違いないようにだけ、心がけて、 バーコードを通していた。


覚えてないんだ。


あまりにも突然で
衝撃的で

冷静さは、動揺へと 物凄いスピードで
脳と身体を駆け巡り
ボクは得体の知れない緊張に、侵食されていく。

代金を顔も見ずに頂き
一言、小声で

「ありがとうございました」
と発した。

その後の、ボクの働きぶりは、放心状態のレジ店員で、ミスの連発だった。


帰り道、理由など解らずに、自転車をこれでもかと言うぐらい、必死に漕いでいた。

何か、エネルギーを発散させたい衝動。

こみ上げる!!
何コレぇぇええ!?
(゜ロ゜;(゜ロ゜)


この灯火が消えてもいいと言う無謀な希望。
すべてが上手くいく気がしていた。

運命を勝手に感じていた。


次の日から、選択を決めた後の行動は、すでに段取りが組まれていたかのように、速かった。