愛羅は子供用に作られた包丁を持ち、いちごを切ろうとした。しかし苺は不安定に揺れ、転がり、愛羅は指を切ることになった。
「あ」
人差し指からは、少量の血が出ている。子供用が幸いした。愛羅はじっと指を見つめる。
由茄とオーナーは、いつか起こると思っていたので、さほど驚いていない。
しかし、海はーー。
「ちょっ!何見てるんですかっ。早くこれで止めてください」
海はハンカチを差し出す。ひどく驚いている様子だ。
「…お前のハンカチで?汚れるかもよ」
「かも、じゃなく汚れていいんです。あなたの指に傷が残らないよりマシです」
