「ぶつぶつ独り言はいいから手。動かして」
愛羅は、小麦粉のついた顔で海を見下ろす。そのあと、綺麗なはずの手を洗う。
「アイラさんこそ。時間稼ぎかわかりませんが、何回も手洗わないでください」
「残念。俺は手、動いてる」
別の意味でね…。由茄は呆れ顔で手を動かす。オーナーのサポートをしているので、まな板で華麗な包丁さばきを見せていた。
それに比べ、「ザ・手動かすものか」(名付け親:オーナー)の人たちのまな板では、包丁で切られた食材がくたびれたようになっている。
「ねえウミちゃんとアイラ…。やる気ある?」
オーナーは苦笑しながら言った。
「やる気はめっちゃあります」
