店は台風が過ぎたように、無惨な姿になっていた。愛羅は何かを察した後、ボリボリと耳をほじくる。
「私も手伝います!」
「いーやっ、ウミちゃんはアイラと買ってきた飾りをかざってきてよ」
「でも、オーナー…」
「いいからっ。アイラと青春しちゃいな☆」
海の愛羅の背中を押す、オーナー。最後のセリフに何か言いたげな海だが。あの、嫌味たらしな愛羅が何も言わずあくびをするから、何も言わなかった。
外は、肌寒かった。本格的に冬が到来したようだ。
辺りは暗く、はしごを使い店の外見を装飾するのは大変な作業だった。
それに。
